公開研究会 CEFR,CEFR補遺版の仲介(媒介)活動と複言語・異文化間教育の接点 ―日本語と外国語―

日時:2023年1月21日(土)14時〜18時
場所:大分大学 旦野原キャンパス 教養教育棟27号教室第一大講義室
*参加者は各自,Zoomが使えるノートパソコン,スマートフォン等携帯端末を持参してください。
*新型コロナウイルスの感染状況次第では,オンライン開催になります。 

開催趣旨:
CEFRの仲介活動は,2001年版から2018年CEFR補遺版で概念そのものが大きく変わった。また,CEFR補遺版には,仲介活動と複言語・複文化能力の共通参照レベルも新たに加えられた。厚生労働省の『就労場面で必要な日本語能力の目標設定ツール』にもこの変更は部分的にすでに反映されている。現在,文化庁は「日本語教育の参照枠」補遺版の検討中である。この公開研究会では,今後,このような取り組みをさらに充実,発展させるにはどうすれば良いのかについて議論する。

この公開研究会に参加して,「場」の共有をお互いの知見の共有につなげましょう。それぞれの抱えている問題を語り合い,研究者,教育関係者の輪を拡げましょう。

事前登録
参加(対面)される方は,新型コロナウイルス感染対策のため以下のサイトにアクセスして事前登録をしてください。参加は,無料です。
https://forms.gle/kuWJo8WJ7unrkM7e6

大分大学へのアクセス
大分大学へのアクセスは,大学ホームページにある「交通アクセス」をご覧ください。つぎのサイトに,大学までの交通機関に関して詳しい情報が掲載されています。
会場は「旦野原キャンパス」となります。
https://www.oita-u.ac.jp/category/access.html

ZoomのURL
Zoomでも参加できます。事前登録は不要です。また,参加は無料です。
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Zoomミーティング
1月21日「CEFR, CEFR補遺版の仲介(媒介)活動と複言語・異文化間教育の接点」公開講座
https://oita-u.zoom.us/j/88695250760?pwd=RmZMdVp6ZVlldzhzb3MvM09VV0l0QT09
ミーティングID: 886 9525 0760
パスコード: 108145

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研究会会場
研究会会場は,旦野原キャンパスにある教養教育棟第一大講義室です。教養教育棟は,つぎのキャンパスマップサイトにある32です。拡大表示ボタンをクリックしてご覧ください。ほぼ中央にあります。35の扉から入校し,1階は入試課/学生・留学生支援課の事務室ですが,27号教室は2階にあります。
https://www.oita-u.ac.jp/category/dannoharu_map.html

プログラム
14 : 00
総合司会 西島順子(大分大学)
研究会司会 松井孝浩(文化庁国語課)

第一部 CEFR,CEFR補遺版の仲介(媒介)活動
14 : 10 島田徳子(武蔵野大学)「『就労場面で必要な日本語能力の目標設定ツール』の開発における「仲介」就労Can doの検討について」
14 : 35 松岡洋子(岩手大学)「災害時に求められる「仲介」とはー移民受け入れ社会の仲介力を考える」           
15 : 00  西山教行(京都大学)「CEFR(2001)とCEFR補遺版(2020)における「媒介・仲介」の展開について」   
15 : 25 質疑応答           指定討論者 藤井久美子(宮崎大学)

15 : 55 休憩(15分)

第二部 CEFR,CEFR補遺版の複言語・異文化間教育
16 : 10  大木 充(京都大学)「仲介活動とダイバシティ・マネジメントと複言語・異文化間教育」
16 : 35  西島順子(大分大学)「イタリアの言語教育政策に見られるイタリア固有のplurilinguismoとCEFRの複言語主義」 
17 : 00 小柴裕子(宮崎大学)「日本語学習者は社会的行為者(social agent)か」
17 : 25 質疑応答           指定討論者 松永典子(九州大学)
17 : 55

開催実行委員 西島順子,西山教行,大木 充
連絡先 y-nishijima@oita-u.ac.jp

この公開研究会は,つぎの科学研究費助成事業の一環として行われます:西島順子「イタリアの複言語主義にもとづく移民児童生徒への教育政策とその実態」(課題番号21K00789)松岡洋子「移民受入れコミュニティにおける災害時コミュニケーション構築の基盤研究」(22K00732)大木 充「英語圏の外国語教育の目的・現状調査に基づく英語と連携するフランス語教授法の構築」(19K00813研究代表中村典子) 西山教行「『ヨーロッパ言語共通参照枠』に関する批判的言説の学説史的考察」(18H00688)松永典子「歴史学習・遠隔協働学習を通した平和共存のための日本語教育研究」(22K00668)藤井久美子「新しい異言語間コミュニケーション・パラダイムの構築:「節英」論の国際比較研究」(22K00822研究代表木村護郎クリストフ)

発表要旨
島田徳子「『就労場面で必要な日本語能力の目標設定ツール』の開発における「仲介」就労Can doの検討について」
厚生労働省が2020年に発表した『就労場面で必要な日本語能力の目標設定ツール』では,就労場面で必要な日本語能力を「就労Can doリスト(めやす)」として示しています。その中で,「仲介(橋渡し)」は,7つの言語活動のうちの一つとして位置づけられています。本発表では,CEFR補遺版の「仲介」をどのように参照し,「仲介(橋渡し)」の能力記述文を設定したのかについてお話しします。

松岡洋子「災害時に求められる「仲介」とはー移民受け入れ社会の仲介力を考える」
 災害時の移民への情報伝達や,移民と受入れ社会との接触摩擦等の対応のためのコミュニケーション力として「仲介力」は重要である。本発表では,CEFR CVの「仲介」の能力記述と災害時の対応場面を対照させることによって,多文化社会における災害時場面に求められる「仲介力」を整理し,警察,消防,医療従事者,ソーシャルワーカー等の災害時対応人材の異文化対応力研修の体系化について検討する。

西山教行「CEFR(2001)とCEFR補遺版(2020)における「媒介・仲介」の展開について」
本発表はCEFRの初版と補遺版における「媒介・仲介」の概念の変化や展開を考察する。CEFR(2001)は「媒介・仲介」の概念に言及したものの,CEFR補遺版(2020)がこの概念を継承発展させたと考えられている。しかしこの二つの版の間に整合性はあり,齟齬はないのだろうか。CEFR補遺版(2020)はCEFR(2001)の教育観を継承して発展させたのだろうか。異なる角度や立場から新たな教育観を追加したのではないだろうか。本発表は媒介・仲介に関するCEFR(2001)とCEFR補遺版(2020)の間に認められる逸脱の可能性を解明する。

大木 充「仲介活動とダイバシティ・マネジメントと複言語・異文化間教育」
 近年,実業界では,革新的,創造的な仕事を可能にするために組織に多様性を求める動きがあり,「ダイバシティ・マネジメント」という名の下に研究が行われている。組織の構成員の多様性と問題解決能力および創造性の向上との関係を対象にするこの研究は,CEFR補遺版の仲介活動と重なるところがある。今回の発表では,ダイバシティ・マネジメントの観点から仲介活動,特にFacilitating pluricultural space の可能性ついて考える。

西島順子「イタリアの言語教育政策に見られるイタリア固有のplurilinguismoとCEFRの複言語主義」
今日,複言語主義といえば,CEFRのそれを想起する。しかし,CEFRが発表される20年以上前にイタリアでは「民主的言語教育」と称するplurilinguismoにもとづく言語教育が提唱されていた。この言語教育はイタリアの教育政策に影響を与え,現在も母語教育の文脈において継承されている。本発表では,民主的言語教育が教育政策に包摂された経緯や,CEFRの複言語主義との関係性について論じる。

小柴裕子「日本語学習者は社会的行為者(social agent)か」
文化庁が策定した「日本語教育の参照枠」では,「日本語学習者を社会的存在として捉える」と明記されている。果たして,日本語学習者は「社会的行為者(social agent)」になり得たのであろうか。CEFRで定義される言語学習者の表象をふまえ,日本語教育における学習者の位置付けを再考する。

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